事業承継をスムーズに行うための株式併合によるスクイーズアウトとは?
こんにちは、いつも「事業承継の窓口」のブログをお読みいただき誠にありがとうございます。ハッピー事業承継コンサルタント兼、事業承継士の西尾です。事業承継を進めるうえで、「株式を持っているけれども、連絡がつかない株主がいる」というケースに悩む経営者は少なくありません。このような場合、株主の数を調整して、株式を会社が買い戻す方法があります。それが株式併合によるスクイーズアウトと呼ばれる手法です。この方法を活用すれば、連絡が取れない株主や少数株主から会社の株式を整理することができ、スムーズな事業承継が可能になります。
「スクイーズアウト」とは、ある株主が持っている株式を会社側が強制的に買い取ることで、株主の数を減らすことです。特に、中小企業の事業承継においては、この方法が役立つケースが多くあります。ここでは、スクイーズアウトの基本や進め方、実際の例を交えてご紹介します。
株式併合によるスクイーズアウトの具体的なステップ
それでは、実際にどのように株式併合を行い、スクイーズアウトを進めていくのか、ステップバイステップで見ていきましょう。
ステップ1:株式併合を行う目的を明確にする
まずは、株式併合の目的を明確にすることが大切です。多くの場合、事業承継の障害となっている少数株主や、連絡が取れない株主を整理する目的で行います。この整理が進めば、後継者へのスムーズな株式の移転が可能となり、社長が安心して次の世代に会社を託す準備が整います。
事例:ある製造業の社長は、創業当初に応援してくれた親しい知人に株式を持ってもらっていました。しかしその後、転居や音信不通が続き、株主としての権利は残りつつも、会社への貢献はない状態でした。そこで株式併合を使い、該当株式を会社側が取得。これにより株主構成がシンプルになり、事業承継もスムーズに進みました。
ステップ2:株主総会の承認を得る
株式併合を行うためには、株主総会での承認が必要です。会社法によると、株主の4分の3以上の賛成が必要ですが、社長が後継者や家族と話し合いながら進めることで、同意を得やすくなります。この段階では、どのような経緯で併合が必要になったか、株主に説明し、理解を深めることが大切です。
ヒント:会社の将来や後継者にバトンを渡すことが主目的であることをしっかり伝えると、周囲の理解を得やすくなります。
ステップ3:株式併合の内容を決定する
次に、株式併合の割合を決めます。例えば、全体の株式を10分の1に併合することで、少数株主の株式を買い取れる形に調整することができます。ここでは専門家の意見も取り入れながら、後継者の権利や今後の会社経営に無理が生じないような割合に設定することが重要です。株式併合後の株価や経営権の調整についても確認しておきましょう。
ステップ4:スクイーズアウトの実施
株式併合を行った後、残った少数株主の株式を会社側が強制的に取得する「スクイーズアウト」を実施します。これには、代金を供託して株式の所有権を会社に戻すための手続きが必要です。供託された代金は、後日株主が取り戻すことが可能な形で保管されます。このように、株主の権利を守りつつも、会社の経営を一本化できる方法です。
スクイーズアウトを選択するメリットと注意点
株式併合によるスクイーズアウトには、いくつかのメリットと注意点があります。ここでは、それぞれを具体的に解説します。
メリット1:株主構成がシンプルになる
スクイーズアウトにより、会社に対する権利や影響力を持つ株主を整理できるため、後継者が経営に集中しやすくなります。特に事業承継のタイミングでは、株主構成がシンプルであるほど、後継者にとっても経営判断がしやすくなるため、事業承継の安定性が増します。
メリット2:事業承継が円滑に進む
事業承継の際、株式が分散しているとスムーズに承継が進まないことがあります。スクイーズアウトにより少数株主を整理することで、会社が一体となって次世代へのバトンタッチを進めやすくなります。これにより、事業承継が円滑に進み、会社の長期的な安定も見込めます。
注意点:株主との事前調整が必要
スクイーズアウトを行う際は、少数株主の理解を得ることが重要です。法的には可能な手法ですが、株主との信頼関係を大切にし、説明責任を果たすことで、スムーズな手続きを目指しましょう。また、専門のコンサルタントに相談し、株主の納得を得られる手続きができるよう準備を進めてください。
株式併合を用いた事業承継の成功事例
実際の事例
建築業を営むある社長は、次世代への承継を考えた際、少数株主が多く存在していることに気付きました。そこで、株式併合を行い、少数株主の株式を会社側が買い取ることで、後継者への権利移転がスムーズに進む環境を整えました。この結果、後継者が株主からの余計な圧力を受けることなく、自分の判断で経営を行えるようになりました。
株式併合によるスクイーズアウトの進め方まとめ
株式併合によるスクイーズアウトは、会社の株主構成を整理し、次世代への承継をスムーズにするための強力な手段です。上記の手順を踏むことで、連絡が取れない株主や少数株主からの株式を整理し、経営の一本化を図ることが可能です。事業承継を成功させるためには、まず会社の株主を明確にし、将来に向けての基盤を固めることが重要です。
もし株主との調整や株式併合の手続きにお困りであれば、ぜひ専門のコンサルタントに相談してみてください。経験豊富なプロの助けを借りることで、より安心して事業承継を進めることができます。
相談例
不動産業を営む社長が、株主構成が複雑で事業承継に支障が出るのを懸念し、コンサルタントに相談しました。コンサルタントからのアドバイスをもとに株式併合を実施し、株主構成をシンプルに整理することで、後継者が安心して経営を引き継ぐ環境を整えることができました。「株主との関係が疎遠になっても、しっかり対応できる方法がある」と理解した社長は、コンサルタントへの信頼を深め、最終的に事業承継を成功させました。
このように、コンサルタントのサポートを受けることで、複雑な株主問題もスムーズに解決できるのです。社長の皆様も、困難を一人で抱え込まず、プロの力を借りて次のステップを目指しましょう。
スクイーズアウトとは、
会社が株主から株式を「強制的に買い取る」ことで、株主の数を減らし、経営を効率化する手法です。特に、少数の株主が会社の経営に大きな関心を持っていなかったり、連絡がつかなくなったりしている場合に使われます。
具体的には、スクイーズアウトを行うことで、少数株主の株式を会社が買い戻し、会社の経営権を後継者や主要株主などに集中させることができます。この方法によって、株主が多すぎて意思決定が複雑化している会社や、事業承継をスムーズに進めたいと考える経営者にとって、経営の一本化が実現できます。
たとえば、以下のような手順でスクイーズアウトが行われます。
- 株式併合などの方法で、株主がごく少数になるよう株数を調整。
- 残った少数株主の株式を、会社が一定の価格で「強制的に買い取る」形にして、株主に代金を支払う。
- これにより、少数株主の持ち株が会社に戻り、経営権が主要株主や後継者に集中する。
スクイーズアウトのメリット
- 経営の安定化:株主構成がシンプルになり、後継者が経営しやすい環境を整えられます。
- 事業承継の効率化:少数株主が整理されることで、スムーズな事業承継が実現します。
スクイーズアウトは、会社が株主に説明責任を果たしつつ進める必要がありますが、経営を安定させ、事業承継を成功に導く強力な手段です。
株式併合とは、
会社が発行している株式を「まとめて、株数を減らす」方法です。これは、たとえば、10株を1株にするなど、株数を一定の割合で減らすことで行います。
株式併合を行うと、一部の少数株主が持つ株数が1株未満になり、会社がそれらの株を買い取ることになります。このため、株主の数を減らし、経営権を後継者や主要株主に集中させたい場合に使われることが多いです。事業承継や経営の安定化のために利用されることもあります。
株式併合の仕組みと例
たとえば、ある会社が株式併合を「10株を1株にまとめる」形で実施するとします。
- 結果:10株持っている株主は1株に、5株持っている株主は0.5株(1株未満)になります。
1株未満になった場合、その株主は「端数株主」となり、会社はその分の株式を買い取ることになります。これにより、端数株主の持ち株は会社に戻り、結果的に株主数が減ります。
株式併合のメリット
- 株主構成の簡略化:株主の数を減らし、経営権を集中させることができる。
- 経営の安定化:少数株主の影響を小さくし、経営判断がしやすくなります。
- 事業承継がスムーズに:株式を集約し、後継者にスムーズに株式を移転しやすくなります。
株式併合は、経営上の重要な意思決定を効率化する手段として、また、スムーズな事業承継を実現するための有力な方法です。
まとめ
株式併合によるスクイーズアウトは、少数株主や所在不明株主との関係を整理し、会社の経営基盤を強化するための有効な手段です。特に事業承継において、株主の存在が障害になるケースでは、スムーズな承継を実現するために大変役立ちます。
株式併合を考える際は、事前の計画や株主への説明が鍵となります。事業承継の一環として、会社の株主構成を見直し、次の世代に円滑に引き継ぐ準備を整えることが大切です。さらに、コンサルタントと相談しながら進めることで、安心して承継に臨むことができます。
経営者の皆様、会社の未来を明るいものにするためにも、株主との関係をクリアにしておきましょう。スクイーズアウトの活用方法や手続きのサポートが必要であれば、ぜひお気軽にご相談ください。
以上が「株式併合によるスクイーズアウト」に関するブログ記事です。この内容が事業承継を考える経営者にとって、前向きな一歩を踏み出す手助けとなれば幸いです。
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