株式、お金、債務、不動産などのお悩み相談の答え

事業承継の相談内容は、3つに集約されます。

こんにちは、いつも事業承継の窓口のブログをお読みいただきありがとうございます。HAPPY事業承継コンサルタントの西尾です。

今回は事業承継の相談で多いのは何ですか?にお答えします。出来るだけ分かり易く書きますが、法律が入ってくるので難しいのは、お許しくださいね。

相談内容は、大きく分けると3つに分けることが出来ます。

1つ目は、株式、お金、債務、不動産などの金銭的な対策(ハード対策)。
2つ目は、人材、後継者といった人及び人に絡む悩み(ソフト面)。
3つ目は、一族、世代間の軋轢、家族間のトラブル(人間関係の面)。
今回から3回に分けてこれらの解決策を分かり易く解説しますね。

今回は、「株式、お金、債務、不動産などの金銭的な対策(ハード対策)」についてのお話しです。

事業承継の第一歩は「事業承継診断」から

相談内容を診断する前に、「事業承継診断」を行います。

事業承継を成功させるためには、最初に会社の現状を正確に把握することが重要です。分かり易く言えば病院の問診票です。
多くの経営者が「何をどう進めれば良いのか分からない」と感じますが、この不安や疑問を解消するために、「事業承継診断」が欠かせません。この診断では、財務状況や資産構成、法的課題、後継者の有無などを総合的にチェックし、事業承継における問題やリスクを把握します。

事業承継診断は、会社の課題やリスクを明確にし、適切な事業承継計画を立てるための出発点となります。診断をもとに、事業承継士や専門家が最適なプランを提案し、例えば株式の移転や資産の管理、債務整理など、スムーズな事業承継を進めるための対策を実行します。
相談内容に多い、事業承継における主要な「ハード対策」に焦点を当て、具体的な解決策を紹介します。

事業承継税制と事業承継円滑化法、保険の活用

事業承継の場面では、株価の高騰やそれに伴う相続税や贈与税の負担が大きな課題となります。株式の評価額が高くなるほど、後継者にかかる税負担が重くなり、スムーズな事業承継が難しくなります。この問題を解決するために、事業承継税制事業承継円滑化法が非常に有効な手段となります。また、これらの制度に加えて、保険の活用も資金対策として大きな効果を発揮します。

事業承継税制の概要

事業承継税制は、後継者が株式を引き継ぐ際に、一定の条件を満たせば相続税や贈与税の支払いが猶予され、最終的に免除される可能性がある制度です。後継者が会社の株式を贈与または相続で取得した際に、その株式にかかる税金が猶予され、一定の期間、要件を満たし続けることで、最終的には税負担が免除されます。

特例措置の適用

2018年に導入された特例措置は、従来の制度よりも大幅に有利な条件が提供されています。これにより、後継者が相続または贈与によって取得する全株式(100%)が対象となり、相続税や贈与税が猶予されます。

  • 相続税:通常、相続で取得した株式には相続税がかかりますが、特例措置では後継者が一定期間会社を経営し続けることで、相続税の支払いが猶予され、最終的に免除される可能性があります。
  • 贈与税:同様に、株式の贈与に対しても贈与税が課されますが、特例措置を利用することで、全株式に対して贈与税の猶予が適用されます。後継者が会社を経営し続けることで、最終的には贈与税も免除されます。

特例措置の適用条件

特例措置を適用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 後継者が会社の代表者であること:株式を取得する後継者は、事業承継の際に会社の代表者として就任し、その後も代表権を継続して保持する必要があります。
  2. 雇用の維持:相続または贈与後の5年間は従業員数の80%以上を維持する必要があり、この要件を満たさない場合、猶予されていた税金が遡って課税されるリスクがあります。
  3. 株式の保有と経営継続:後継者は、株式を20年間継続して保有し、その間も会社の経営を続けなければなりません。この要件を満たさない場合、猶予されていた税金が一括して課税されることがあります。

事業承継円滑化法の活用

事業承継円滑化法も、事業承継をスムーズに進めるための重要な法的ツールです。この法律では、事業承継に伴う法的および経済的な問題を解決するために、遺留分に関する特例金融支援の拡充などの特例措置が設けられています。

遺留分に関する特例

事業承継の際、相続人が最低限保証される遺留分が問題になることがあります。例えば、後継者が会社の株式を全て相続する計画を立てていても、他の相続人が遺留分を請求すると、後継者が取得する株式の一部が減少するリスクがあります。これにより、経営権が不安定になる可能性が生じます。

事業承継円滑化法では、こうしたリスクを回避するために、遺留分に関する特例が設けられています。この特例を活用することで、後継者が全株式を保持できるようになり、他の相続人からの遺留分請求による株式分割のリスクを回避できます。この特例を利用するには、事前に全ての相続人の同意が必要ですが、同意を得ることで後継者は経営権を確実に維持できます。

金融支援の拡充

事業承継を進める際に、後継者が株式を取得するために多額の資金を必要とする場合があります。特に株価が高騰している場合には、この資金調達が大きな障害となります。これに対処するため、事業承継円滑化法には、金融支援のための特例措置が含まれています。

  • 融資制度:金融機関が事業承継のために必要な資金を融資することで、後継者が株式取得に必要な資金を確保できます。
  • 信用保証制度:信用保証協会が後継者の借入を保証することで、金融機関が融資しやすくなり、資金調達のハードルを下げることができます。

これらの支援制度により、資金不足による事業承継の失敗を防ぎ、後継者がスムーズに会社の株式を取得できる環境を整えることが可能です。


保険を活用した資金確保

事業承継を円滑に進めるためには、保険の活用も非常に効果的です。特に、生命保険養老保険を利用することで、後継者が必要な資金を確保し、相続税や贈与税の支払いに対応することができます。

生命保険の活用

生命保険は、経営者が亡くなった際に支払われる保険金を相続税の支払いに充てるために利用できます。保険金を活用することで、後継者が相続税を支払うための資金を確保でき、相続手続きが円滑に進みます。

  • 生命保険には、相続税の非課税枠があり、法定相続人一人当たり500万円までが非課税となります。この非課税枠を活用することで、相続税の負担を軽減し、後継者がより少ない負担で事業を引き継ぐことができます。
  • 保険金は現金で支払われるため、相続時に現金が不足するリスクを減らすことができ、スムーズな相続手続きを進めることが可能です。

養老保険や経営者保険の活用

また、養老保険経営者保険を活用することで、経営者の生前に資金を準備することができます。

  • 養老保険は、一定期間満了時に満期保険金が支払われるため、後継者が資金不足に悩むことなく相続税を支払うための準備が可能です。また、経営者が亡くなった場合には、保険金が後継者に支払われます。
  • 経営者保険は、経営者のリスクに備えるだけでなく、事業承継の際に必要な資金を準備することができます。

これらの保険を利用することで、相続時の資金不足を回避し、後継者が円滑に株式を取得できる環境を整えることができます。


事業承継税制、事業承継円滑化法、保険の併用でスムーズな事業承継を実現

事業承継税制事業承継円滑化法、そして保険を組み合わせて活用することで、事業承継に伴う税負担や資金調達の問題を効果的に解決し、後継者がスムーズに事業を引き継ぐことが可能です。

  • 事業承継税制を活用して相続税や贈与税の負担を大幅に軽減し、保険を利用して資金を確保することで、後継者が必要な資金を準備できるようになります。
  • 遺留分に関する特例を活用すれば、他の相続人からの遺留分請求を防ぎ、後継者が経営権を確実に保持することができます。

これらの対策を組み合わせ、次世代への事業引き継ぎをスムーズに進めましょう。



お悩みを相談は、事業承継の第一歩

事業承継の窓口では、皆さんの事業承継の質問にお答えしています。
60歳を過ぎたら事業承継を本気で考える必要があります。分からないを、「重要性を理解した」になるまでお手伝いをしています。
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事業承継は、会社の未来を築くための大きなステップです。専門家の力を借りながら、次の世代へ確実にバトンを渡す準備を進めましょう。

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