社長が今すぐ取り組むべきこと~名義株式の問題とその対応方法 ~

社長!名義株式は解決すべき重要な課題です。

株式会社において、「名義株式(めいぎかぶしき)」という問題は、特に1990年以前に設立された企業でよく見られます。名義株式とは、本来の株主とは異なる人の名義で株式が登録されている状態のことです。例えば、会社を設立する際に、発起人が7人必要だった時代には、経営者が知人や友人に名義を貸してもらう形で会社を立ち上げるケースが多くありました。その後、名義変更が行われないまま長年放置されているため、この「名義株式」の状態が続いている企業が少なくありません。

こうした名義株式は、見過ごしてしまうと大きなリスクを引き起こす可能性があります。名義株式の問題に向き合い、今すぐ対策を取ることが、あなたの会社の未来を守る第一歩です。今回は、この問題に対処するための具体的なステップを、分かりやすく解説します。


1. 名義株式が生まれる背景

名義株式の問題が発生する背景には、1990年の商法改正以前の法律の影響があります。この時代、会社を設立する際には発起人が最低7人必要でした。しかし、7人の発起人を集めることが難しい場合、経営者は知人や友人に名義を貸してもらい、会社設立に必要な株式を発行するという手法を取っていました。実際には、株式の代金を経営者が用意し、友人や知人がその名義を使って株式を取得する形でした。

その後、会社の成長や経営の安定に伴い、名義変更を行わないまま長期間が経過し、結果としてこの「名義株式」の問題が放置されているケースが多く見られます。また、株主名簿の書き換えが適切に行われなかったり、株式の贈与や売買が不明確なままの状態で、株主が誰なのかが曖昧になってしまっている場合も少なくありません。これは非常にリスクを抱えた状態ですが、多くの会社でこの状態が放置されてきました。


2. 名義株式を放置するリスク

名義株式をそのまま放置してしまうと、将来的に大きな問題を引き起こすリスクが存在します。

具体的には、次の2つのリスクが主に挙げられます。

  • リスク1:名義株主の相続による権利主張

    名義株主が亡くなり、相続が発生した場合、会社に全く関係のない第三者が相続人として株主の権利を主張することがあります。たとえば、会社設立当初に知人に頼んで名義を借りた株式が、知人の死亡によりその相続人に引き継がれた場合、その相続人が株式の権利を主張することができます。こうしたケースでは、突然知らない人物が会社の株主として現れ、意思決定に影響を与えかねません。
  • リスク2:名義株式の変更による贈与税の発生

    名義株式を実質的な株主に書き換えようとすると、税務上「贈与」とみなされることがあります。この場合、株式の名義変更に伴い、多額の贈与税が課されることがあります。特に株式の評価額が高い場合、予想以上の贈与税が発生し、会社に大きな財務的負担をもたらすリスクがあります。

3. 名義株式問題を放置してしまった企業の事例

名義株式の問題を放置し、後々大きなトラブルに発展してしまった企業の事例を見てみましょう。

ある製造業の中小企業の社長は、設立当初に知人たちに名義を借りて株式を発行しました。会社が成長し、株主名簿を整理しようとした際、名義株主の一人がすでに亡くなっており、その相続人が株主として権利を主張してきました。この相続人は会社の経営にはまったく関心がなく、単に株式の売却を希望していたため、社長はこの株式を買い戻すために多額の資金を準備せざるを得なくなりました。株式評価額が高い場合は数千万単位の資金が必要になる場合もあります。

さらに、この相続問題を処理するために社長は、長期にわたる交渉や法的な手続きに追われ、経営にも支障が出てしまいました。もし、この名義株式の問題を早めに解消していれば、こうしたトラブルを避けることができたはずです。


4. 名義株式を解消するための具体的なステップ

では、名義株式の問題を解決するためには、どのようなステップを踏むべきでしょうか?

以下に、名義株式を解消するための具体的な手順を詳しく解説します。

  • ステップ1:株主名簿の精査と確認

    まずは、自社の株主名簿を確認し、名義株式が存在しているかをチェックします。古い株主名簿や発行済株式の状況を整理し、名義が実質的な株主と一致していない株式がないか確認することが重要です。株主名簿の正確な記録が会社の健全な経営の基盤となります。
    これは、創業者社長の知人で後継者長とは面識がない場合も多く、創業社長と共に整理することが必要です。
  • ステップ2:名義株主との交渉

    名義株主がまだ生存している場合は、早めにコンタクトを取り、株式の名義変更や売却について話し合いを進めることが必要です。
    名義株主が亡くなっている場合には、その相続人と協議を行い、適切な形で名義株式を整理するための手続きを進めましょう。
    ここで、問題株主として経営に口出しする方もいるので十分に注意して対応することが必要です。
  • ステップ3:贈与税のリスクを管理

    名義株式の名義変更を行う際には、税務リスクに十分に注意を払う必要があります。名義変更が贈与とみなされ、贈与税が課税されるリスクを回避するためには、税理士や専門のコンサルタントに事前に相談し、最適な対応策を講じることが重要です。
    贈与税に関しては、税理士・公認会計士と打ち合わせをした後に、税理士・公認会計士を同伴の上、税務署に事情を説明し対応策を考えます。
  • ステップ4:専門家への相談とサポートの活用

    名義株式の問題は、法的な側面や税務上の問題を含む複雑なケースが多いため、信頼できる専門家に相談することが不可欠です。事業承継士、弁護士、税理士などの専門家と連携し、リスクを最小限に抑えながら名義株式の問題を解決しましょう。

5. 名義株式問題を解消した成功事例

名義株式問題を適切に解消し、会社の成長に繋げた成功事例もあります。

ある小売業の企業では、設立時に名義を借りた株式が放置されていました。名義株主がすでに亡くなっており、その相続人との間でトラブルが発生する可能性があったため、早急に対応が必要でした。社長は、事業承継士に相談し、贈与税が発生しない形で名義変更を進める手法を提案してもらいました。数カ月にわたる交渉と書類作成の末、無事に名義変更が完了し、相続人とのトラブルを未然に防ぐことができました。

この会社は、名義株式の問題を解消したことで、株式の所有権が明確になり、経営の透明性が向上しました。これにより、社長は安心して会社の未来を見据えた経営を進めることができました。また、株主総会や重要な意思決定の際に、株主とのトラブルを避けられ、スムーズな経営を維持できるようになりました。社長は、「名義株式の問題を早めに解決して、会社の未来がより安定しました。これで次のステージに向けた準備が整いました」と語っています。


6. 名義株式問題を解決するためのコンサルティングの重要性

名義株式の問題は、会社の将来に影響を与える非常に重要な課題です。この問題を放置すると、相続問題や贈与税のリスクが発生し、最悪の場合、会社の存続に悪影響を与える可能性があります。しかし、適切な手続きを踏むことで、このリスクを未然に防ぎ、会社をより強固な基盤に立たせることができます。

このような名義株式の問題を抱えている場合、事業承継の最適解を導く事業承継士に相談することが重要です。弊社は、あなたの会社の名義株式問題を解決し、円滑な事業承継を実現するためのサポートを行っています。名義株式の問題を解決し、会社の未来を明るくするための一歩を一緒に踏み出しましょう。


まとめ

名義株式の問題は、株式会社にとって避けて通れない課題です。また、問題株主に直面し、経営に関与される恐れもありますが、既存株主を排除する事はなかなか難しく長期間の対応が必要です。

この問題を解決できるのは、創業社長だけです。後継者の経営を盤石なものにするために、名義株式を整理しましょう。

次回のブログは、

名義株式などで相談したい経営者様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先 info@up-on.jp
株式会社 アップオンコンサルティング
担当者  西尾までお気軽にお問い合わせください。

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