親族内承継と親族外承継の比較:どちらが最適か?
こんにちは、事業承継の専門コンサルタントの西尾です。
今日は、「親族内での事業承継」と「親族外での事業承継」について、そのメリットとデメリットを比較し、どちらの方法があなたの会社にとって最適かを考えてみましょう。
事業承継は、会社の未来を見据えた重要な決断です。事業を親族内で引き継ぐか、それとも外部の人材に任せるか、その選択肢によって会社の未来は大きく変わります。それぞれの方法には利点と課題がありますので、具体的に見ていきましょう。
「親族内承継」の利点について
親族内承継とは、子供や親戚に事業を引き継ぐ方法です。日本の多くの中小企業では、親族内承継が主流です。その理由にはいくつかの利点があります。
1つ目は、信頼関係の強さです。
親族内で事業を引き継ぐ場合、信頼関係が既に確立されています。家族同士の絆は強く、相互にサポートし合うことができます。これは、特に事業が困難な時期において重要な要素です。例えば、事業の成長に困難が生じたとき、家族間の信頼関係に基づくサポートが、企業を立て直す大きな力となることが多いです。
2つ目の利点は、企業文化の継承です。家族経営の中で育った親族は、会社の文化や価値観を深く理解しています。これにより、企業のアイデンティティやブランドを維持しながら、事業を継続することができます。特に、企業が持つ独自の文化や伝統を大切にしたい場合、親族内での承継は非常に有効です。親族がその企業の精神を受け継ぎ、次世代に繋げていくことができるからです。
3つ目の利点は、資産の保全です。親族内承継は、企業の資産を家族内に保つことができるため、資産の分散を防ぐことができます。これにより、長期的な経済的安定が図れます。特に、資産が大きな企業や資産運用が複雑な場合、資産を家族内に保つことは、大きな利点となるでしょう。
親族内承継の課題
1つ目は、適任者がいない可能性が挙げられます。親族内で適任者がいない場合、事業の成長が停滞するリスクがあります。適切なリーダーシップや経営スキルを持った人材がいないと、会社の将来に不安が残ります。これは特に、次世代が経営に興味を持っていない場合や、必要なスキルを持っていない場合に問題となります。
2つ目の課題は、感情的な問題です。家族間の関係がビジネスに影響を及ぼすことがあります。特に、親族内での競争や感情的な対立が事業運営に悪影響を及ぼすことがあるため、感情のコントロールが重要です。家族という近い関係だからこそ、ビジネスと感情を切り離すことが難しくなるケースが多いのです。
3つ目の課題は、専門性の欠如が課題となることがあります。
家族経営の企業では、親族以外の人材と比較して、特定の分野での専門知識や経験が不足している場合があります。これは、特に現代の複雑なビジネス環境では、大きなハンディキャップとなる可能性があります。事業を成長させるためには、時には外部の専門的な知識や経験が不可欠になることもあります。
「親族外承継」の利点
について考えてみましょう。親族外承継とは、親族以外の外部の人材に事業を引き継ぐ方法です。最近では、外部のプロフェッショナルや従業員、あるいは他社とのM&A(合併・買収)を通じての事業承継が増えています。
1つ目の利点は、専門知識と経験の活用です。外部のプロフェッショナルや他の企業からのリーダーは、豊富な専門知識や経験を持っていることが多く、企業の成長を加速させることができます。例えば、新しいマーケットに進出したいと考えている企業にとって、外部の経験豊富なプロフェッショナルを迎えることは、大きな強みとなります。
2つ目の利点は、新しい視点と変革です。親族外のリーダーは、これまでの企業文化にとらわれず、新しい視点で事業を見直し、革新的なアイデアを取り入れることができます。これにより、企業の競争力が強化されます。特に、変化の激しい業界においては、新しい視点を持つリーダーの存在が、企業を再活性化させる大きな要因となります。
3つ目の利点は、経営の客観性です。外部の人材は、感情に左右されずに経営判断を下すことができます。これにより、より合理的で戦略的な意思決定が可能になります。感情に左右されない冷静な判断は、企業にとって非常に重要です。
しかし、
親族外承継にも課題があります。
1つ目は、企業文化の摩擦です。外部のリーダーが企業文化に馴染むまでに時間がかかることがあります。企業文化の違いからくる摩擦が、従業員の士気や業務効率に影響を与えることも考えられます。企業文化を守りつつ、外部からのリーダーを受け入れることは、時に難しい課題です。
2つ目の課題は、信頼関係の構築です。
外部から来たリーダーと従業員との間で信頼関係を構築するには時間がかかります。特に、企業の長年の従業員との信頼関係を築くには、相当の努力と時間が必要です。信頼関係の構築は、一朝一夕ではできません。
3つ目の課題は、コストの問題です。外部のプロフェッショナルを迎えるには高いコストがかかることがあります。特にM&Aを伴う事業承継は、資金的な負担が大きくなる可能性があります。資金繰りやコストの問題は、外部承継を選ぶ上での大きなハードルとなることがあります。
では、どちらの承継方法が最適なのでしょうか?その判断基準をいくつか挙げてみます。
まずは、リーダーシップの資質です。次世代のリーダーとしてふさわしい人物が親族内にいるかどうかを確認しましょう。リーダーとしての資質や経営スキルがあるかが重要です。親族内に適任者がいる場合、その人を育てることが最適かもしれません。
次に、企業の成長戦略です。企業の今後の成長戦略に合わせて、どちらの方法がより適しているかを考えます。新しい市場への参入や事業拡大を目指す場合、外部のプロフェッショナルを迎えることが有利かもしれません。
また、企業文化の継承も考慮すべきです。企業文化を重視する場合、親族内承継が適しているかもしれません。しかし、企業文化を進化させたい場合には、親族外の新しいリーダーシップが役立つこともあります。
さらに、従業員の意見と士気も重要な要素です。従業員の意見を尊重し、彼らの士気がどちらの方法に対して高いかを確認することも重要です。新しいリーダーがどのように受け入れられるかを考慮します。
最後に、経済的リソースとリスク許容度を考慮する必要があります。親族内承継と親族外承継のどちらが自社の経済的リソースとリスク許容度に合っているかを見極めることも大切です。経済的な負担やリスクを考慮して選択しましょう。
事業承継は、企業の未来を左右する非常に重要な決断です。親族内で承継するか、親族外のプロフェッショナルに任せるか、その選択にはそれぞれ利点と課題があります。会社の状況や将来のビジョンに基づいて、最適な方法を選択することが大切です。
事業承継は、単なる世代交代ではなく、企業の新たな成長を導く機会でもあります。どちらの方法を選んでも、次世代のリーダーと共に新しい未来を切り開くことができるはずです。前向きに取り組んでいきましょう!
事業承継に興味がある方は、お気軽にご相談ください。
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