事業承継とは何か?会社と個人を切り分ける事!
こんにちは、事業承継の専門コンサルタントです。今日は「事業承継」というテーマについて深く掘り下げて考えてみたいと思います。特に、事業承継を考える際に「会社」と「個人(経営者)」をどう切り分けるかが重要なポイントです。この切り分けができて初めて、事業承継の準備が整い道が開けます。
創業者にとっての会社とは?
まず、創業者にとっての会社について考えてみましょう。創業者にとって会社は、まさに「自分自身」と一心同体の存在です。会社をゼロから立ち上げ、何もないところから事業を拡大してきた創業者にとって、会社は単なる「ビジネスの場」ではなく、自分の人生そのものです。多くの創業者が、自分の時間や情熱、努力を全て注ぎ込み、時には家族や友人との時間を犠牲にしてまで会社の発展に努めてきました。そのため、会社は創業者にとって「自分の分身」ともいえる存在なのです。
また、創業者はその過程で多くの困難を乗り越え、成功体験を積み重ねてきました。これらの経験は、創業者の「会社への愛情」や「経営者としての誇り」を強くします。だからこそ、会社を手放すことや他人に任せることに対して、強い抵抗感や不安を感じる方も多いのです。その創業者にとって、会社を次の世代に引き継ぐことは、自分の分身を託すようなもの。そのため、事業承継には慎重な計画と準備が必要です。
創業者や現役社長が納得できる事業承継を計画出来るかが、非常に重要にポイントになります。
事業承継で求められる「切り分け」
しかし、いざ事業承継の時期が来ると、この「会社」と「経営者」の一体感を少しずつ切り分けていく必要があります。なぜなら、事業承継とは会社を次の世代に引き継ぎ、未来にわたって事業を継続させるためのプロセスだからです。ここで重要なのは、会社が経営者個人とは別の存在であると認識することです。
事業承継を成功させるためには、まず経営者自身が「会社は自分とは別の存在であり、私はいつか会社から離れても、会社は独立して成長し続けるべきだ」という考え方を受け入れることが必要です。これは決して簡単なことではありません。なぜなら、多くの経営者が長年、自分自身と会社を一体化して考えてきたからです。しかし、事業承継を成功させるためには、この考え方の転換が不可欠です。これが、会社と個人を切り分けるということです。
事業承継後の2つの道:ハッピーリタイアと継続経営
事業承継が実現すると、経営者と会社の道は分かれることになります。経営者は会社を新しいリーダーに引き継ぎ、「ハッピーリタイア」へと向かいます。一方、会社は新しいリーダーシップのもとで「継続経営」を目指します。これが、事業承継における「切り分け」の具体的な形です。
1. ハッピーリタイア
経営者にとって、ハッピーリタイアとは、会社の将来を安心して次の世代に任せ、自分の人生を楽しむことです。これまで会社のために尽力してきた創業者が、自分の時間を取り戻し、趣味や家族との時間を充実させることができる、新しいステージです。
もちろん、会社の経営から離れることに不安を感じる方もいるでしょう。しかし、事業承継の準備をしっかりと行い、次世代に確かな基盤を築くことができれば、経営者は安心してリタイアを迎えることができます。
また、ハッピーリタイアは、経営者自身の健康や家族との関係を再構築する大切な機会でもあります。長年の激務で失ったものを取り戻し、第二の人生を豊かに生きるための大切な時間です。健康維持や新たな趣味の発見、ボランティア活動など、リタイア後の生活をどう充実させるかを考えることも重要です。リタイアを成功させるためには、経営者自身が自分の次の人生に対して明確なビジョンを持ち、それを楽しむ心の準備をすることが大切です。
2. 継続経営
会社にとっての「継続経営」とは、新しいリーダーのもとで事業をさらに発展させることです。事業承継を成功させるためには、次世代のリーダーが創業者のビジョンを理解しつつも、時代の変化に対応した新しい経営方針を打ち出していくことが求められます。継続経営のためには、新しいリーダーの選定と育成、そして会社全体の準備が重要です。次世代が会社を引き継いでも、従業員や取引先からの信頼を失わず、スムーズに経営を続けられるよう、しっかりと準備を進めましょう。
新しいリーダーが創業者のビジョンと価値観を受け継ぎつつ、自らのカラーを出していくことで、会社は新しい成長軌道に乗ることができます。ここで重要なのは、創業者の価値観を継承しながらも、現代の市場環境や技術革新に対応できる柔軟な思考と行動力を持つことです。新しいリーダーは、企業の伝統を尊重しつつ、イノベーションを推進し、企業文化を進化させていく責任があります。
事業承継の心理的側面
事業承継は、単なる経営の引き継ぎだけでなく、経営者にとって大きな心理的転換を伴うプロセスです。長年続けてきた経営から離れることに対する不安や、会社が自分の手を離れることへの寂しさを感じることもあるでしょう。こうした心理的な側面にも向き合い、適切なサポートを受けることが、スムーズな事業承継を実現するための重要な要素です。心理的な負担を軽減するためには、家族や信頼できる友人、専門のコンサルタントと話し合い、気持ちを整理することが大切です。
心理的サポートの一環として、リタイア後のライフスタイルについて明確に計画することも重要です。例えば、趣味に時間を費やす、新しいスキルを学ぶ、地域社会への貢献を考えるなど、リタイア後の生活を豊かにするための目標を設定することが勧められます。
事業承継後の経営者の役割
事業承継後も、経営者は完全に手を引くわけではありません。新しいリーダーが慣れるまでの間、アドバイザーやメンターとしての役割を果たすことが求められることもあります。この期間を通じて、経験と知識を次世代に伝え、会社の成長をサポートすることが重要です。こうしたサポート役を担うことで、経営者自身も安心してハッピーリタイアを迎えることができます。
さらに、アドバイザーとしての役割は、会社にとっても非常に貴重です。新しいリーダーが経営の舵取りをする際に、過去の経験から得た知識や洞察を活かすことで、困難な状況にも冷静に対応できるようサポートすることができます。このように、事業承継後も経営者としての影響力を保ちつつ、次世代の成長を見守ることが求められます。
まとめ
事業承継とは、会社と個人(経営者)を切り分ける大切なプロセスです。創業者にとって会社は自分の一部ですが、事業承継後は経営者はハッピーリタイアを迎え、会社は新たなリーダーのもとで継続経営を目指すことになります。このプロセスをしっかりと準備し、実行することで、経営者も会社も新しい未来に向けた一歩を踏み出すことができます。事業承継は、企業の成長と持続可能性を高めるための重要なステップです。今こそ、未来に向けた準備を始めましょう。
このように、事業承継を成功させるためには、長期的な視点で計画を立て、次世代の育成と会社の準備をしっかりと進めることが必要です。また、心理的な側面にも配慮しながら、経営者自身も次のステージに向けた心の準備を整えることが重要です。未来に向けて、共に歩んでいきましょう。
私のお客様で70歳を超え、事業承継が間に合わなかった。というお客様も多くいらっしゃいます。「間に合わない」となる前にお気軽のご相談ください。
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