事業承継のタイミングを逃さないために
事業承継は、会社の未来を決める重要なプロセスです。しかし、多くの現社長が「自分は元気だから!」と会社の引継ぎの準備を先延ばしにしてしまうことがあります。その結果、時間を無駄にし、会社の安定や成長に影響を与えるリスクが高まります。
特に今の時代、事業承継を迅速に進めることが、取引先・金融機関へ、事業を安定して継続出来る会社です。という信頼証明になっています。
この記事では、現社長が事業承継をすぐに進めるべき理由と、事業承継を成功させるためのヒントを紹介します。
1. 少子化と後継者不在の問題
日本では少子化が進行しており、子供の数が減少していることは周知の事実です。子供の数が減少することで、親が事業を引き継がせるための選択肢が限られてきているのが現状です。以前であれば、複数の子供の中から適性を持つ者を選ぶことができましたが、現在は一人っ子や子供がいない家庭が増えており、事業承継の選択肢が狭まっています。
帝国データバンクが実施した「全国企業『後継者不在率』動向調査(2020年)」によると、全国の企業のうち65.2%が「後継者不在」であると回答しています。これは、3社に2社が後継者を確保できていないことを示しており、特に少子化の影響を受けやすい中小企業では深刻な問題となっています。後継者不在のままでは、事業の存続自体が危うくなる可能性が高く、現社長が早急に対応しなければなりません。
詳しくは帝国データバンクのHPをご覧ください。
(出典:㈱帝国データバンク「全国企業『後継者不在率』動向調査(2020年)」)
また、子供が一人しかいない家庭では、その子供が事業を継ぐことが期待されますが、本人が継ぐ意志を持っていない場合や、適性に欠けている場合には、事業承継がうまくいかないリスクもあります。子供が事業を継がない場合、現社長は社内の優秀な人材を育成するか、外部から適切な人材を採用する必要がありますが、これも時間と計画的な準備が不可欠です。
2. 情報化社会と職業選択の多様化
現代は情報化社会と呼ばれ、インターネットやメディアの発達により、若者たちはさまざまな職業やキャリアの情報に容易にアクセスできます。この結果、子供たちは多様な選択肢の中から自分の興味や関心に基づいて職業を選ぶことができるようになり、親の会社を継ぐことが第一の選択肢であるとは限らなくなっています。
例えば、子供が自分の夢を追求することに強い意志を持ち、海外でのキャリアを考えている場合、親の会社を継ぐ選択は魅力的に映らないこともあります。また、企業の将来性や市場の成長性を見極めた結果、親の会社を継がない方が良いと判断することもあります。このような時代背景の中で、後継者選びのプロセスが以前よりも複雑化しており、計画的な準備が求められるのです。
さらに、情報化社会では、新しい技術やビジネスモデルが次々と登場し、企業経営のあり方も変化しています。これに対応できる後継者を選ぶことが必要であり、そのためには現社長自身も、後継者育成に対して積極的に関与し、最新の経営知識やスキルを提供することが重要です。
3. 経営環境の変化と能力主義の重要性
過去の日本経済は右肩上がりで成長を続けていましたが、現在は市場の成熟化や競争の激化により、経営環境が厳しくなっています。このような状況下で、能力のない後継者が事業を引き継ぐと、企業の経営が行き詰まるリスクが高まります。
また、帝国データバンクの調査でも指摘されているように、多くの企業が能力主義を採用する方向にシフトしているのも、この背景が一因です。後継者選びにおいては、従来の「血縁主義」ではなく、実際の経営能力やリーダーシップスキルが重視されるようになっています。これにより、企業の継続的な成長を見据えた後継者選びが求められているのです。
企業が持続的に成長し続けるためには、現社長は早い段階から後継者を選定し、育成計画を立てる必要があります。これには、次世代のリーダーが現在の経営課題に対応できるスキルを習得するだけでなく、将来の市場変化にも対応できる柔軟な思考を持つことが求められます。現代の経営環境では、適切なタイミングでの事業承継がますます重要になってきています。
まとめ
事業承継を成功させるためには、現社長が早めに計画を立て、行動を起こすことが不可欠です。少子化による後継者候補の減少、情報化社会による職業選択の多様化、そして厳しい経営環境と能力主義の台頭など、現代の企業経営には多くの課題があります。これらのリスクを正しく理解し、タイムリーな事業承継を進めることで、企業の未来を確実なものにすることができます。
帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査(2020年)」も示しているように、後継者不在の企業が多い中で、現社長の迅速な行動が求められています。事業承継は、企業の存続と発展を確保するための重要なステップです。今すぐ計画を立て、行動を開始しましょう。
私のお客様で70歳を超え、事業承継が間に合わなかった。というお客様も多くいらっしゃいます。「間に合わない」となる前にお気軽のご相談ください。
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