後継者不足が650万人の雇用と22兆円のGDPを消失させる!
こんにちは。事業承継のプロとして日々企業の未来を守るために活動しているもとです。今日は、事業承継にまつわる日本の現状について、特に後継者不足という大きな課題に焦点を当ててお話しします。後継者が見つからず、将来の会社の存続に不安を感じている経営者の方々に向けて、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思います。
事業承継の現状:後継者不足の深刻さ
まず、事業承継に関する日本の現状を見てみましょう。現在、日本では多くの経営者が60歳を超えており、そのうち半数以上が将来的に廃業を考えているとされています。これは、日本政策金融公庫が実施した調査によるもので、経営者の高齢化が進む中で会社を次の世代に引き継ぐことが非常に難しくなっている現実を示しています。
この「廃業を考える経営者」の中でも特に深刻なのが、後継者不足です。後継者が見つからないために、事業を続けることができず、廃業を検討せざるを得ないという経営者が増えています。後継者不足が理由で廃業を予定している企業は、全体の約3割に上るとされています。これは、企業の存続だけでなく、従業員の雇用、地域経済、さらには日本全体の経済にも大きな影響を与える問題です。
出典:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)」
経済全体に与える影響
後継者不足による廃業が相次ぐと、日本全体の経済に深刻な影響を与えることが懸念されています。経済産業省の試算によると、もし後継者問題が解決されなければ、2025年頃までに約650万人の雇用が失われる可能性があるとされています。これは、日本の労働市場にとって非常に大きな打撃となりかねません。
さらに、同じく経済産業省の試算では、後継者不足が解決されない場合、日本のGDP(国内総生産)から約22兆円が失われると予測されています。GDPとは、国内で生み出される付加価値の総額を表すもので、経済の規模を示す重要な指標です。22兆円という巨大な金額は、日本全体の経済活動において極めて大きな影響を与えます。具体的には、私たちが日々利用しているサービスや製品の提供が減少し、結果として生活の質の低下や企業活動の停滞につながる可能性があります。
後継者不足の影響は、それだけではありません。企業が廃業に追い込まれることで、地域社会にも深刻なダメージが及びます。例えば、地方の中小企業が廃業すると、その地域の雇用が失われるだけでなく、地域全体の経済活動が低迷し、人口減少や地域の衰退を招く可能性が高まります。こうした地域の衰退は、地方の魅力が減少することで観光業や地元産業にも悪影響を及ぼし、さらには国全体の経済活力の低下につながる恐れもあります。
後継者不足の背景にある問題
では、なぜこれほど多くの企業が後継者不足に悩んでいるのでしょうか?その背景には、いくつかの要因が考えられます。
1. 若い世代の価値観の変化
まず、若い世代の価値観の変化が挙げられます。かつては、親が築き上げた事業を子どもが継ぐことが当たり前とされていました。しかし、現代の若者たちは、自分自身のキャリアやライフスタイルに強いこだわりを持つようになっており、自分のやりたいことや夢を追いかけることを重視する傾向があります。そのため、親の仕事をそのまま引き継ぐことに対して必ずしも魅力を感じていないのです。
この価値観の変化には、社会の構造的な変化も関係しています。例えば、かつては終身雇用が一般的であり、安定した収入を得ることが最優先とされていましたが、現在では、若い世代は自分の時間やライフスタイルを大切にし、仕事とプライベートのバランスを重視する傾向があります。そのため、たとえ家業があっても、必ずしもそれを継ぐことを選ばず、自分自身が興味を持つ新しい分野や、自分が成長できる職場を選ぶことが多くなっているのです。
さらに、デジタル化やグローバル化が進む中で、伝統的なビジネスモデルが急速に変化しています。若い世代はこうした新しいビジネスチャンスに興味を持ち、親の事業をそのまま引き継ぐことに対して、将来性を見出しにくいと考えることが多いのも一因です。このように、若い世代の価値観の変化が後継者不足の一因となっています。
2. 経営者自身の準備不足
もう一つの重要な要因は、経営者自身が事業承継の準備を十分に行っていないことです。事業承継は、会社の所有権を単に引き渡すだけでなく、経営ノウハウや人間関係、企業文化などを次の世代に引き継ぐためのプロセスです。しかし、多くの経営者は日々の業務に追われ、事業承継に向けた準備が後回しになってしまいがちです。
例えば、「まだ自分は元気だから、事業承継はまだ先の話だ」と考える経営者も少なくありません。しかし、人生は予測不可能です。突然の病気や事故など、いつ何が起こるかわからないため、早い段階から事業承継の準備を始めることが重要です。準備が不足していると、いざ後継者が見つかっても、スムーズに引き継ぐことができず、最終的には廃業に追い込まれることもあります。
事業承継の準備が不足している理由の一つに、経営者が「後継者に全てを任せられるかどうか不安を感じている」という心理的な要素もあります。長年、自分が築き上げてきた会社を誰かに任せることは、経営者にとって非常に大きな決断です。そのため、経営者は後継者の能力や意欲に対して疑念を持つことがあり、結果的に事業承継の準備が遅れることがあります。
3. 後継者に対する過度な期待
また、経営者が後継者に対して過度な期待を抱くことも問題の一つです。経営者は自分が長年築いてきた事業を継ぐ後継者に対して、同じような経営手腕やリーダーシップを期待することが多いです。しかし、後継者が親と全く同じやり方で経営を引き継ぐことは現実的ではありません。特に、現在の経済環境やビジネスのトレンドが急速に変化している中では、後継者が独自の経営スタイルや戦略を持つことが必要です。
経営者が後継者に対して過度な期待を抱き、それに応えられない場合、後継者自身がプレッシャーを感じ、結果的に事業承継がうまくいかないケースもあります。経営者は、後継者に対して柔軟な姿勢を持ち、彼らが自分の考えを持って会社を導くことをサポートする必要があります。また後継者が、プレッシャーを感じることなく、自信を持って経営に取り組めるようにするためには、経営者自身が後継者をメンターとして支援することも重要です。経営者は、自分の経験や知識を後継者に伝えることで、彼らがリーダーシップを発揮できるようサポートし、安心して経営を引き継ぐ環境を整えることが求められます。
事業承継を成功させるためにできること
では、後継者不足の問題を解決し、事業承継を成功させるためにはどうすればよいのでしょうか?ここでは、具体的なステップをいくつかご紹介します。
1. 綿密な計画と早期の準備
事業承継を成功させるためには、まずは計画を立てることが重要です。経営者は、会社の将来像を明確にし、そのビジョンに基づいて事業承継の計画を策定する必要があります。この計画には、会社の経営方針や戦略、後継者の育成プランなどが含まれます。
さらに、事業承継の準備はできるだけ早い段階から始めることが重要です。早期に準備を始めることで、後継者が経営者としての経験を積む時間が増え、スムーズな引き継ぎが可能になります。また、経営者自身も、会社の経営に対する自身の役割を徐々に縮小し、後継者が主導権を持つ体制に移行することで、事業承継の過程を自然に進めることができます。
例えば、後継者が会社の一部門を担当し、徐々に経営の全体像を理解していくようなステップを踏むことで、後継者が自信を持って経営を引き継げるようになります。また、経営者は定期的に後継者と面談を行い、彼らが直面している課題や不安を共有し、解決策を一緒に考えることも大切です。こうしたプロセスを通じて、後継者は経営者としてのスキルを磨き、自信を持って会社を導く準備を整えることができます。
2. 後継者の育成と支援
後継者不足の問題を解決するためには、後継者を育成し、彼らが経営者としてのスキルを身につけるための支援が必要です。経営者は、後継者に対して経営の実践を通じて経験を積ませるだけでなく、外部の研修やセミナーに参加させることで、幅広い知識と視野を持たせることが大切です。
また、後継者が経営者としての自信を持てるように、経営者自身がメンターとしてサポートすることも重要です。後継者は、自分の判断が正しいかどうかを不安に感じることがあります。そのため、経営者が彼らの決断をサポートし、失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えることが必要です。
さらに、後継者が外部の専門家やコンサルタントと連携し、経営に関する客観的なアドバイスを受けることも有効です。外部の専門家は、後継者が直面する課題に対して、異なる視点から解決策を提案し、経営者としての成長をサポートする役割を果たします。後継者が多様な視点を持つことで、経営の幅が広がり、会社の成長に寄与することが期待されます。
3. 専門家のアドバイスを活用する
事業承継は複雑なプロセスであり、経営者や後継者だけで進めるのは困難なことが多いです。そのため、事業承継士やM&Aコンサルタント、弁護士や税理士など、専門家のアドバイスを活用することが重要です。
専門家は、事業承継に関する法律や税務、財務面でのアドバイスを提供してくれます。また、事業承継の計画を立てる際には、第三者の視点から客観的にアドバイスをもらえるため、より現実的で効果的なプランを作成することができます。
例えば、事業承継士は、後継者選びや育成のプロセスをサポートし、スムーズな事業承継を実現するための具体的なアドバイスを提供します。M&Aコンサルタントは、経営者が自社の株式を第三者に売却する際の交渉や契約手続きをサポートし、円滑な株式移転を実現します。弁護士は、事業承継に関する法的な問題や契約書の作成、規制対応などを担当し、リスクを最小限に抑えるためのアドバイスを行います。税理士は、事業承継に伴う税務リスクを評価し、最適な節税対策を提案します。
こうした専門家のサポートを受けることで、経営者は安心して事業承継を進めることができ、後継者も自信を持って会社を引き継ぐことができます。また、専門家との連携により、事業承継のリスクが最小限に抑えられ、会社の将来に向けた準備が万全に整うことが期待されます。
まとめ
事業承継は、会社の未来を守るために非常に重要なプロセスです。しかし、日本では後継者不足が深刻な問題となっており、多くの企業が将来的な廃業を余儀なくされています。この問題を解決するためには、早めの準備と綿密な計画が欠かせません。
事業承継を成功させるためには、後継者の育成や専門家のサポートを活用することが重要です。後継者が経営者としてのスキルを磨き、自信を持って会社を導く準備が整うことで、事業承継はスムーズに進みます。また、経営者自身も早期に事業承継の準備を始め、後継者に対する期待や不安を共有しながら、円滑な引き継ぎを実現することが求められます。
もし、後継者が見つからないという悩みをお持ちの経営者の方がいらっしゃれば、我社にご相談ください。事業承継を成功させ、次の世代に会社を引き継ぐことで、あなたの会社が未来に向かって成長し続けることを願っています。事業承継の準備を始めることで、あなたの会社の未来が確かなものとなり、日本全体の経済にも大きな貢献ができるはずです。
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